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Arc de Triomf(凱旋門) [2000-2001 in Barcelona]

動物園がある Parc Ciutadella (市立公園)の,動物園と反対側,北の端にこの凱旋門があります.もちろん,パリのそれを念頭において作ったものです.この街のことを語るのに欠かせない,1888年に行われた万国博覧会の会場のシンボルになったようです.

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パリの凱旋門に対抗して(真似して)建てられた物です.色合いからすると何か渋いですね.

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でも周囲は南国情緒いっぱい.やはりパリとはかなり違います.

Sagrada Familia in 2000-2001 [2000-2001 in Barcelona]

モデルニスモ建築の鬼才,Antoni Gaudi が生涯をかけた作品,聖家族教会は,バルセロナの観光名所として重要なものの一つで,観光客は誰もが訪れます.「食いかけのトウモロコシを逆さにして並べたような塔」「金を払ってみる工事現場」などと揶揄する向きもありますが,実物を見るとそんな表現も吹っ飛んでしまうスケールの大きさです.

本当はエレベーターで塔の上の方まで上がってみたのですが,足がすくんで写真を撮ることを忘れました(あ~,はずかし).これらの写真ではわかりにくいですが,塔の天辺にはザクロのような形のカラフルな飾りが付いています.完成したらこんな石のむき出しではなく,そうしたきらびやかな色になるんだろうなぁ,と期待させてくれます.

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目の前に見える広場のような通りが,ガウディ通りです.夏場はここに出るカフェに座ってこの協会を見るのが気分がいい.

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こちらが正面入り口から向かって左側にある,ドームになるところです.

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真下から見上げるとこんな感じです.

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1882年に着工されてから100年以上経ちますが,まだまだ工事中です.「金を払ってみる工事現場」です.

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よく見ると,新しい彫像がたくさんあります.これはバルセロナ在住の日本人彫刻家、外尾悦郎さん(47)が、16年がかりで完成させた「生誕の門」です.

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これはガウディ通りの反対側のはずれにある,モデルニスモ建築の一つとして名高い L'hospital St Pau から見た Sagrada Familia です.この病院の設計者はバルセロナの建築学校の先生で,政治的にはガウディより力があった人で,師匠でもありライバルでもあった人ですが,これを眺めながら何を考えたのでしょうか.


Sardanaのオーケストラ [2000-2001 in Barcelona]

ここカタルーニャの人々の心の拠り所の一つ,「サルダーニャ」という踊りがあります.各地でよく踊られるようです.

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バルセロナの街の中心にあるカテドラル前の広場に,毎週日曜の正午からこうしたバンド(Cobla)が出ます.編成は,前列左端にソプラニーノリコーダー&太鼓(兼コンマス)のおじさん,並んでオーボエ(様の楽器だけどずいぶん太い)2人,そのお化け2人.後列はトランペット2人,バルブトロンボーン1人,バス・フリューゲル2人.そして右に切れてるけどコントラバス1人の計11人.


このバンド・Coblaについて,情報が無かったのですが,最近楽譜屋でこのバンド譜をすこし入手し,全容がわかってきました.
• ソプラニーノ・リコーダー: Flabiol といいます.譜面からすると,アルトリコーダーのオクターブ上,譜面は in F です.
• オーボエ様太いやつ: 単に Tible と呼ばれているようですが,こうした楽器 Shawn の Soprano とあります.譜面は in F
• そのお化け:単に Tenora と呼ばれているようです.Shawn Tenora というべきかな.譜面は in B♭

 トロンボーン,Fiscorn バスビューグル,コントラバスについては特に言うことは無いでしょう.

 踊り自体はフォークダンスの「マイムマイム」よろしく,輪になって踊るものです.踊りについてはまたそのうち追加で紹介しましょう.


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前列のオーボエ系の楽器は,総称して「ショーン」とか「シャルダイ」という名前だそうです(これらは同じ言葉でしょう.フランス語読みとスペイン語読みというような違いだと思います).このアップにした向かって右側の楽器は特に音域からして単に「テノーラ」と呼ばれるようです(情報を下さった方,ありがとうございます).

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これが,リコーダー 兼 太鼓 兼 コンマスのおじさんです.よくみてください.首からひもで太鼓をつるし,左手でリコーダーを操り,そこにかけた太鼓を右手で叩く.ほとんど曲芸です.

◎ この踊りについては,サルダーナと呼ぶべきではという,スペイン語をご存じの方からのご指摘もあるのですが,こちらの人に聞くと大抵「サルダーニャ」という発音に聞こえるので,そう書くことにします.

 そのほか,面白いことがたくさんあります.また改めて取材してからご報告します.


FelizNavida (クリスマス) [2000-2001 in Barcelona]

ここカタルーニャだけでなく,スペインではどこでも,クリスマスの期間はは24日から1月6日までです.キリスト生誕の25日はちゃんと祝日,各家庭で厳かに大切に祝います.昼食がメインでそのあとシエスタの習慣があるこの国らしいのかも知れませんが,26日が「食休みの?」祝日となっているのも面白いですね.1月6日はキリスト生誕から12日目,東方の3賢人が貢ぎ物を持って祝福に来た日とされ,子供たちへのプレゼントはこの日の朝にもたらされるようです.

 ちなみに大晦日の夜は日付が変わるときに12粒のブドウを食べて新年を祝い,そのあとは一晩中どんちゃん騒ぎ,というのがこの国の基本のようです.そして元日はそのお疲れ休み?で祝日,街は2日から大体普通の感じで動き始めますが,6日までがクリスマス休暇の基本のようで,それまではぼちぼちという感じです.

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スーパーの入り口のひさしの上に,トナカイが引いたそりに乗ったサンタ・クロースがいました.ちなみにこれを撮影したのは1月4日です.

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カトリックの国ですが,さすがはラテンの国カタルーニャ,クリスマスは大いに明るく,にぎやかです.夜は街中にこうした灯りがともされます.

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ホラホラ,このホテルにはサンタさんがプレゼントを持ってきましたよ.

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あれれ,朝だよ,まだ配り終わってなかったの? (拡大画像ありです

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クリスマス(24~25日)には木の切り株を倒し,切り口にこういう顔をかいた人形を飾ります.何でも,この切り株君はお尻を叩くとキャンディや小さいおもちゃを出すそうです.24/25日に子供がもらえるのはそれだけ.

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1月6日には3賢人パレードが.3賢人は海から船で来て,大通りを通り,その後家々まで来るらしい.

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大人も子供も楽しみにしています.パレードの様子は,あまりの混雑ぶりに撮れませんでした.まあ直接見ないと仕方がないので,そういう人の特権ということで・・・・




不快だった「仮面舞踏会」 [2000-2001 in Barcelona]

不快だった「仮面舞踏会」

 不快だったことについて覚えている範囲でざっと書く.ネタをバラすことになるのだが,敢えて書く.

 最初はトイレである.廻り舞台に沿って20ほどのトイレがあり,それぞれにスーツを着てズボンを降ろした男性が新聞を読みながら座っている.そして中心の1人がピストルを取り出し,その個室の屋根裏に隠す・・・.ビジネスマンと思しき設定だろうが,ちょっとやりすぎでは.でもまあこれなら笑って許すことにしよう.

 次の不快な場面は,女声合唱の酒場?赤線?の場面.合唱団はみんなボディコンやら肩が大きく開いて胸元が露わなドレスやら,まあ色っぽいのだが,そのうち両袖からガウンを着た男女が別々に出てきた.そしてガウンを脱ぐと全裸(よく見えなかったが男性はTバックのような小さい下着をつけていたようだ.女性は本当に全裸).そしてなにやら赤い塗料のようなものを塗りあっている.ムードを出したいのは分かるが,こんなに大きな劇場で,真ん中に一組男女が絡み合っていてもムードは出ないし,そんなことをしなくても妖しいムードは出るはずだ.いくら大人が見に来るべきものだからといっても,こんなものをオペラの舞台に出す必要はないのではないか.

 そして一番不快だったのは,「軍隊」を表しているのだろうと思うのだが,2幕で男たちがケンカをしている.それで終わるかと思えば実はケンカではなくて・・・・・かつて日本でも僧坊などであった行為を,本人の了解を得ずに暴力的に行う(これぐらいの表現でご理解下さい)・・・・・これが最初の booing だった.最初はまさかと思ったが,その「被害者」はこれまた全裸のまま舞台に幕の終わりまでいて,その後他の人に引きずり回され・・・・・

 あまりにも不快で,booing も当然だと思った.こんな表現を使う必要があるとは思えない.Sex でも暴力でも動物としての人間の根底にあるものだから否定する気はないし,オペラは恋愛と欲望について題材にする者が多いからある程度は分かるのだが,この舞台について言えば演目に対して全く必然性がない.こんなことをするぐらいなら,もっと他にすべきことがあるだろうに.

 2幕が終わって帰ろうかと本気で思ったほどであるし,3幕冒頭の指揮者へのbooingはこうした演出に向けられたものかと思ったほどだった.

 

ヴェルディ 歌劇「仮面舞踏会」 (バルセロナ・リセウ劇場) [2000-2001 in Barcelona]

ヴェルディ 歌劇「仮面舞踏会」 (2000年12月29日(木)バルセロナ・リセウ劇場)

 この日の演目についての感想を書く前に,このオペラ劇場「リセウ」について,昨日の感想記に続いて少し書く.そちらにもかいたが,ここは本当に新しい劇場である.客席や周辺が最新の設備でとても快適なのはもちろんだが,舞台装置なども最新の技術が使われており,廻り舞台や吊りものの仕掛け,奈落からのせり上がりなど,おそらく他のどんな劇場よりもそれは立派なのだろう.前日の「魔笛」もこの日の「仮面舞踏会」もそうした設備を利用した舞台であったと思う.そこで少し気になるのは,このオペラの制作についてである.この日の「仮面舞踏会」は上に挙げた公式ページにも書いてあるが, English National Opera(ENO-London) /Royal Danish Opera (Copenhaguen)との共同製作である.これらのサイトによれば,ロンドンではよく分からないが,コペンハーゲンでは5月に演じられるようだ.これらの劇場にも同じだけの舞台装置を持ち込むのだろうか.その運搬だけでもバカにならないとおもうのだが,新しいものを作るよりは安く上がるのだろう.ソリストははっきりは分からないが,指揮者やオケや合唱は自前だ.

 さてこの日の舞台を見たことは私にとって非常に意義深いものであった.まず演奏について.この日の指揮者はこの劇場のシェフのBertrand de Billyである.まあその劇場がシェフとして契約するのだからその演奏を聴かないことには始まらないだろう.実際,譜面をよく熟知し,完全に歌手や合唱やオケをドライブしていて,その点では大いに気持ちがいい.オケは前日のモーツアルトよりは少し難しいし,また連日「魔笛」をやっていて数日ぶりのこの演目だから,少し粗はあるのだがそれもほんのわずかで,相変わらずの好演と言っても良いだろう.ヴェルディの時代までイタリアではトロンボーン3本はバルブトロンボーン(今はそれを普通のスライドトロンボーンで演奏するため,難曲が多い),そしてその下にテューバではなくてツィンバッソという楽器を使うのが本来であった.この日もツィンバッソを使っていた.かつてプッチーニでそのパートをトロンボーンで吹いた経験がある私としては大いに気になったのだが,この大きな劇場を一杯にすることを意識しているためか「吹きすぎ」の感があり,そこだけはいただけなかった. 座席は前日とちょうど向かいの3階(日本式4階)の一番端だったので,その音を直撃で聞かずに済んだのは,「不幸中の幸い」(とは言い過ぎで,「大きな幸せの中のちょっとの難を免れた」というのが正確な表現)だろう.逆に明らかに「幸せ」だったのは,このオケのコンマスのすごさを聞いたことである.誰がこの日のコンマスかよく分からないので名前を挙げられないのだが(誰か教えてください),四角い顔をした男性.1stのユニゾン,総勢10人(予定は11人だったようだが1人欠席で空席があった)の中で明らかに群を抜いて聞こえてくる.こんなにすごい音のVnがオケに,コンマスにいるのは大変なことだと思った.ちなみにオケは 10-10-8-8-6 という弦の編成.

 そんなわけで前日同様歌手陣について細かい論評をしにくいのだが,Amelia 役の歌唱は良かった.名前を挙げても良いのだが事情により控えることにする.

 この日面白いと思ったのは,思い切りのbooing が何度も出たことだった.最初の booing については別途述べることにするが,1&2幕の休憩の後,指揮者が再入場してきたときにもずいぶんひどい booing が浴びせられた.私の聞いた感じでは演奏レベルはとても高い.確かに私の好みではもっとヴェルディは歯切れの良いリズムが欲しいとは思うのだが,その点ではもたもたしていたとは思う.だが boo というほどではないのではないか.指揮者はその声が聞こえる3階席中央辺りと,こうした挨拶の場としてはずいぶん長い間睨み合い,その間 booing とそれに負けないほどの大きな拍手の応酬が続き,結局指揮者はお辞儀をせずにオケに向き直り,3幕の演奏を始めた.想像するに,シェフということである意味では慣れられ,そうすると必ず悪く言う人が出てくるもので,特にこの日の演奏についての booing ではないように思われたが,どうだろうか.

 もう1人の booing はカーテンコールである男性歌手に向けられた.上に述べたように私自身の意見を詳しく論評することが難しいが,そうした意見があることは十分納得できた.もしここに述べた2つの booing が本当にこの日の演奏に対して向けられたものだとしたら,その客はすごいとはおもう.

 さて,オペラで演奏のことしか述べないのなら,劇場に行く必要はない.もちろん演劇としての要素を見なければならない.昨日同様見にくい席ではあったが,席としては充分だったと思う.そこでこの日の演出.全体に「現代風」の演出(翻案に近い)だが,そういう「演劇的な」演出をするのなら,外見も考えて歌手を選んで欲しい.この演目はGustav Ⅲ世が人妻に横恋慕するという話だが,残念ながら「恋する」に値するような女性が,この日ソロで歌う女性には見あたらなかった.古典的な演出なら,衣装を派手にしてそうしたことを表現することが可能であり,それはそれで良いのだろうと思うが,いくら歌が良くてもドラム缶のような体型で現代風の服を着ているのでは,Gustav Ⅲ世がいかなる物好きでも彼女に「恋する」とは思えない.そうした点では現代風の演出には不満である.

 本当は演出について述べようとするなら 残念ながら「不快である」として終わりにしたいぐらいだ.こうした「現代風」の演出に対してプラハでの感想記に述べたように基本的に好意的な感想を持つ私であっても,この日は「不快」という表現をしたい.詳細については,せっかく私の感想記にお付き合い下さる方に見せるのは忍びないので本当は書きたくないし,私自身の記録としても抹殺したいとすら思う位なのだが,一応別ページにあらましを書くことにする.どうしても見たい方はご覧下さい.ただし非常に不快な内容になるので,どうしてもでなければおやめ下さい.

モーツァルト 楽劇「魔笛」 (バルセロナ・リセウ劇場) [2000-2001 in Barcelona]

モーツァルト 楽劇「魔笛」 (2000年12月28日(木)バルセロナ・リセウ劇場)

 ここ,バルセロナのオペラ劇場「リセウ」はミラノ・スカラ座に次ぐと言われる.だが,この劇場はおそらく世界でももっとも新しい劇場だろう.というのは,94年に古くからあったこの劇場が焼失.昨年秋に再建されたからである.この街に来るのは3度目,初回は85年だから火事の影響はない.昨年はちょうど滞在中がその再オープンの日に当たった.だが残念ながらこの劇場にはいるのは初めてである.

 12日にこの街に来て以来,本職の数学の研究のことや住まいのことなど色々なことがあり,オペラのことを考える余裕などなかったのだが,そう言っていては始まらないので,この日の昼にチケット売り場に行ってみた.チケットの入手は困難だ,とは聞いていたのだが「今日,明日なら全然見えない席で良ければある」というのだ.そしてそれ以降は我々がこのバルセロナを発つ3月まで,ほとんど完売だというのである.全然見えないということはないはず,とチケットを購入.値段はこの日が1700pts,次の日が2200ptsほどである.プラハの劇場の一番いい席の値段とほぼ同じだった.

 さて,開演は20時30分である.総計3時間はかかろうかというこのオペラをこの時間から始めるのは,まさにスペインらしい.実際,中心部ではレストランは22時過ぎから混むところも多く,フラメンコなども夜中がメインだそうだからまあそういうことか.

 言ってみると,外観は歴史的なものを残しているが,中はさすがに近代的な設備で作ってある.装飾などは昔のものを再現しているようだが,とても快適な空間だ.チケットは3階席(日本流には4階)の一番端.前列だが目の前にシャンデリアがあって確かに舞台は見えにくい.真下にオケピットが見える.だがこの劇場の大きさはどうだろう.試しにグラウンドフロアに降りてみた.平土間の席がおよそ700.周囲の軒下にはボックスもあり,グラウンドフロアだけで1000人近くを収容するようだ.1階席もお客さんがたくさん入れるように前が椅子席,後ろにボックスの2段構え.2階席も同様.3階以上はボックスはないが,2段構え.そして5階席(日本流には6階)まである.詳しくは他の資料を観て欲しいが,おそらく収容人員が2000人程度はあるだろう.確かに大きな劇場だ.

 開演前,オケピットを見に行った.プラハ・Stavovske Divadlo を観てきた私にとって,異常に大きなオケだ.弦が10-8-7-5-3.だが考えてみれば,これだけ大きな劇場なのだ.当たり前だと言えばそうだ.それから右側に2ndVn.これを生で観たのは久しぶりだったが,逆に右に2ndを8人も配することが出来るほど大きなオケピットだ,とも言える.

 演奏について書く前に「普通の」オペラハウスの興業について述べたい.私はプラハでたくさんの公演を見てきたからどうしてもそれが普通だと思ってしまうが,一つの演目をたとえば1ヶ月程度の間に10回ほど繰り返す,というのが普通である.プラハのように毎日どんどん出し物が変わって,何年も続くというのは普通ではないようだ.このリセウもしかり.今シーズンの「魔笛」はこの日が3回目で,1月まで総計10回ほどやるらしい.こうした形式がプラハの劇場のそれと何が違うかと言えば,もちろん連日演じるのだからリハーサルからの間もなく,キャストもきちんと準備をして揃えた上で公演が行われるということだろう.プラハでは「久しぶりだなぁ,この演目」と言いながらぶっつけ本番ということが多いので,(プロのレベルで言うところの)事故や粗さが目立つことは否めない.それを考えた上でこの日の公演に行った.

 とは言え,キャストや指揮者をそれぞれ2人か3人を用意するのは当然である.言っては失礼だが,プログラムによればこの日は第2セットの初日であった.だが完璧であるとは言えないが,ちゃんと練習を積んだ上での公演であることは分かる.プラハではぼろくそに言った「巫女3人組」のハーモニーなども申し分ない.歌手陣もそうだが,すごいと思ったのはオケである.こんなにすごいいいオケが聞けるとは思わなかった.長いオペラなのであるから,どこかに穴があっても仕方がないとは思うのだが,弦の演奏も管打のアンサンブルも「見事」の一言につきる.細かいことをゴチャゴチャ言う気にはなれない.惜しかったのは座席のこと.チケットを買ったときには「ここは見えない席だが,音楽を聴くだけなら」など切符売りのおばさんが言うのだが,どうやら音楽を知らない日本人だと思われたのだろう.この日の席は舞台に向かって左側の高いところ.2ndVn&Vaの音がちょうど飛んでくるところだ.その演奏レベルの高さには本当に驚いた.また金管・打楽器と正対していたわけで,彼らの柔らかく統一のとれた音色もたっぷり堪能させてもらった.だが残念ながら歌手の声がオケに消されて聞きにくい.みんなほぼ完璧に歌っているとは思うのだが,誰が「ダメだった」とここで表するのは難しい.良かった,とはっきり言えたのは Papagenoの W.Rauch.あれれ,この名前,どこかで観たんだけど,資料がないので分からない.こんな聞き難い席であるにもかかわらず,ゆったりと響く素晴らしい歌であった.ちなみにこんなに大きな劇場なのだから,もちろんベルカント唱法でフルに歌いまくりであることは言うまでもない.夜の女王の M.Poblador も,あれをミスとして指摘するなら誰も歌えないぜという,最高レベル.プラハでのそれのように何らかのExcuseを込みにした感想を書く必要はない.後半は Pamina の I.Monar も良かったと思う.

 合唱はプラハ・Narodni Divadlo ほど良いとは思わなかった.それから歌手の一部と合唱が指揮を観ていないところがあったのが残念だった.ここは最新の設備があり,舞台から見える指揮者のモニターが用意してある.だから多少角度が変わっても指揮を見ることは可能である.指揮者は譜面は完璧に熟知しているようだった.ちょうど場所的に見えたから言うのだが,若干バトンテクニークに問題があるというか,部分的に見にくい棒があったようだがそれはレベルの高い話である.2幕のほぼ最後までは完璧な指揮ぶりであった.最後5分ぐらいが少し疲れて緊張感が切れた感じがあったが,そこまで良い演奏なんだから,あそこはまわりがカバーしなくちゃ.

 演出は「笑える」ことを出来るだけ意識したもので,私は歓迎.これから見る人もいるだろうから,ネタはばらさない.もっとも今から切符を買うことは無理だけど.

 最後に,これはどうでもいいことだが,指揮者はElizabeth Attl.名前から分かるとおり,女性である.

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