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名選手,必ずしも名コーチならず [算数・数学教育について]

書名は挙げられない。どちらかというと軟派な題で,若者受けしようという魂胆だ。
著者名も挙げられない。数学者としてあまりにも有名な人だ。
だがその本を一読してがっかりした。あまりにもがっかりした。

がっかり・その1
ベクトルとは何かと言うことについて,図形的には曖昧。数ベクトルとしては天下り。

がっかり・その2
ベクトルの内積を,数ベクトルとして天下りに挙げているにもかかわらず,「これらのベクトルは平行」などという表現が突如出てくる。

がっかり・その3
ベクトルの外積も,行列式の中で天下りに出てくる。ところが突如「直交性」などという言葉が出てくる。図形のことはわかって当然というつもりのように見える。

がっかり・その4
ベクトル3重積について結構紙面を割いている。だが計算を色々見せているだけで,読む方は一生懸命読もうせず,結論だけを覚えることになるだろう。

がっかり・その5
空間図形を扱いという気持ちには賛同する。さらっと行列の固有値などを扱って,2次曲面を扱おうとしているが,これを初めて見て一体何がわかるのだろう。

・・・もうやめた。

この本の目的は,ベクトルの外積について解説したいということらしい。四元数や外積代数という見方に踏み込みたい気持ちもわかる。

だが残念ながらこの本から何かを得られる人は少ない。修士クラス以上の学生にはもはや学ぶことはないだろう。学部レベルでは何を言いたいのかわからないだろう。

薄くて売れる本ということで色々詰め込みたかったことも理解できるが,残念ながら晩節を汚したと言わざるを得ない。

名選手,必ずしも名コーチならず。


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