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V.アシュケナージ&チェコ・フィル( ドヴォルザークホール) [2000音楽三昧 in Praha]

V.アシュケナージ&チェコ・フィル(2000年11月17日(金) ドヴォルザークホール)

 チェコ・フィルを聴くのに,肝心のアシュケナージの指揮で聴かなくては意味がない,という話もある.少なくとも常任指揮者としてこのオケが頂いているんだから,彼らが一番良い演奏をするだろうとおもう.残念ながら私はアシュケナージはピアニストとしてしか知らなかった.もちろん随分前から指揮活動をしているのは知っていたのだが,聴いたことはなかったのだ.

 この日はチェコの祝日.曲目があまりポピュラーでないこともあって,定期会員で来なかった人がたくさんあったようだ.実際,私は舞台後ろ=指揮者と正対=の席しか取れなかったのだが,行ってみると最初は7割,休憩後で8割程度の入りだった.まあ,そういう席になったのも何かの縁.せっかくだからアシュケナージの指揮をしっかり見て,またオケ側の気持ちで見ることにしよう.

 入ってきたマエストロは,白のタートルに普通の丈のスーツ.これは・・・やっぱりカラヤンの影響か・・・

 さて,そのまさにポピュラーでない1曲目は,A.Berg の弦楽合奏の組曲.「Lyric」と銘打ってあるが,まあ普通耳になじみにくい曲だ.こういう曲をやったことがないので何とも言えないが,この曲の指揮ぶりを見ている限り,どうしてこの人が常任指揮者なんだろう,という感じ.全く指揮が出来ていない.むしろオケに合わせて振っている感じ.あれれ・・・こういう曲だから仕方がないのか?

 続いて2曲目は Martinu の「Piero della Francescaのフレスコ画」という曲.全然知らない曲だが,この曲に関してはこんな席しか取れなかったことは悲しかった.なぜなら,オケが生き生きとしたサウンドを聴かせてくれて,アシュケナージは軽くそれを制御しているという感じ.せっかくプラハに長くいても,マルティヌーの音楽にまでは手が回らなかったのだが,これを聴く限り,彼らが非常に愛している作曲家であることが分かった.正面で木管のアンサンブルをお客さんとして聴きたかった.好演である.

 休憩後のメインは,R.シュトラウスの「家庭交響曲」.この曲は R.シュトラウスの曲の中でも特に知らない曲だ(何という表現).この前聴いたのは,おそらく20年近く前のこと.中学校の恩師の音楽の先生が,N響の定期会員だがこの日は行かれないから,とチケットをくれたもの.中学生だったそのころ,こんな曲を知るわけもなく,結構飽きた記憶がある.その後,FMでもCDでもこの曲を聴くチャンスがなかったわけではないのだが,他のものと比べて大抵こちらを捨ててきたのだった.

 この曲になってアシュケナージは俄然気合いが入ったようだ.この時期に「英雄の生涯」も取り上げているし,R.シュトラウスは得意としているんだろう.実際,暗譜で縦横無尽に巨大なオケを操るその様は,本当に偉大な指揮者だった.場所からしてあまり金管のサウンドがどうしたこうしたということは関係なく,むしろアシュケナージを見て,そしてその棒と対峙して演奏しているチェコ・フィルの偉大さをみて,大いに感激した.アシュケナージは良い音楽家であることはもちろんだが,指揮でもその才能は大いに発揮されている.そして同時に,R.シュトラウスの他の曲も色々と勉強してみたくなった.知っているのは「ティル」「ひでおのいきがい」「ドン・ファン」だけだ.「ツァラ」は冒頭しか知らないから知らないも同然.「バラの騎士」を見たかったのだが,昨シーズンはやっていたが見られなかった.今シーズンの予定表にはまだ(もう?)ない.他にも聴くべき曲がたくさんあるはずだ.「マーラー」「ストラヴィンスキー」も良いが,今度はリヒャルト・シュトラウスを聴くことにしよう.大いに影響を受けた一夜だった.

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