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モーツァルト 楽劇「魔笛」(Stavovske Divadlo) [2000音楽三昧 in Praha]

モーツァルト 楽劇「魔笛」(2000年10月31日 Stavovske Divadlo)

 考えてみたら,この Stavovske 劇場ではモーツァルトより大きいサイズのオペラを上演することは難しいのではないだろうか.実際,オケピットが狭いので,大きな編成は入らない.だが由緒もある素晴らしい劇場だし,大事にしてもらいたいと思う.もちろん「ドン・ジョヴァンニ」「皇帝ティトの慈悲」がここで初演されたという由縁もあって,観光客も一度は見ておきたい劇場だと思う.

 たとえば「カルメン」についてのところで書いたのだが,この Narodni-Stavovske のオペラの演出の傾向は,演劇を前面に出した感じがある.そしてどちらかと言えば斬新だ.Statni がどちらかと言えば伝統的な物であるのに対して,である.この「魔笛」は93年プルミエというから,もう8年目に入った.オペラとしては全く斬新である.まず緞帳が上がっている.20分前に席に着いたときにすでにそうである.そして舞台装置は何もない.後ろの反響板のような物もなければ,サイドのそれもない.だからスタッフがウロウロしているのも丸見えだ.そして白い服を着た女の子たちが座っている.ステージ上に,しかも開演の10分以上も前からだ.そこに黒い作務衣のような服装の人たちが加わって演奏が始まった.序曲の最中はその人たちがオケピットの間際まで来て,オケを見ている.一体なんだろう・・・・と突如白い大きな幕がわ~っと降りてきて・・・あとはお楽しみなのだが,現代演劇のノリである.タミーノって王子様だったよね,でもなんか王様みたい.ザラストロはタキシード?パミーナは・・・

 正直に言って,何だかわけが分からない舞台である.ちょっとこれを現代版にするのは難しいんじゃないの?という感じ.それでもOperaは色々な楽しみ方があるから・・・・・・・・

 ・・・・・・・と言っては見たものの,この日の演奏の出来ではちょっと.パミーナの L.Aghova はよかった.パパゲーノの Z.Harvanek は中盤から声が伸びてきて楽しめた.3人の巫女(でいいのかな?)は,代役が入ったと掲示があったけど,最初はふざけんな,もっとちゃんと音程を合わせろ,という感じ.後半になったらすごく良くなった.なんだ,できるんなら,代役なんだからちょっとはリハをやったらどうなの?1幕をリハ代わりにするのは失礼だよ.3人の子供たちも中盤から音程が合って声も乗ってきた.でも他の役の人についてはコメントしない方がいいよ,本人たちのために.

 音楽は途中に録音を入れたり,笛のソロはモーツァルト時代の扮装をしたオケのメンバーが舞台で歩きながら吹いたり,色々とやっているんだけど,はっきり言って中途半端.映像を使った部分もあるんだけど,「魔笛」の笑える部分があんまりなくて,何のために現代版にしたの,という感じ.「ドン・ジョヴァンニ」がモダンスタイルでやっていることを悪くいう人がいるようだけど,はっきり言ってこっちの方がもっと悪いな.

 もう一つ気に入らないのは,チェコ語でやっていること.もちろんそれ自体は当然のこと.でもこの劇場のチケットは Narodni よりも,Statni よりももっと高いのである.正直に言えば,普通のプラハ市民がおいそれとは来られない額である.だから当然旧西側からの観光客が多いだろう.たとえば日本人もこの日は20人以上見かけた.この劇場には字幕の装置が無いならしかたがないがそうではないはず.それに,チェコ語がわからない我々にとって劇の進行はよく分からないのだが,それでももっと笑える演目のはずだ.そしてチェコ語がわかる人もそうそう笑っていたわけではなかった.それでも8年目までこの演出で続けるというのはいかなることか.おそらく外国人ばかりが見ていて,その評が主催者側に伝わっていないのではないか.プラハに観光に行ってみよう,ちょっとはオペラも楽しんでみよう,と楽しみにしている方には申し訳ないのだが,この「魔笛」は勧めない.劇場を見るために来るのなら良いのだが,これに来るぐらいなら,Statni に行った方がましだとおもう.1階平戸間に陣取っていた,年配の日本人の皆さんに感想を聞いてみたかったくらいである.

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