SSブログ

ビゼー「カルメン」(Statni Opera) [2000音楽三昧 in Praha]

ビゼー「カルメン」(2000年10月29日(日),Statni Opera)

「カルメン」をプラハで見るのは2回目である.まず今回の国立オペラ Statni Opera で見た感想について述べたい.

 先日プラハに遊びに来た友人から聞いたが,ある音楽の専門家の寄り合いで「娯楽系と悲愴系分けて,最高のものは何か」という話になったそうである.そのときに,娯楽系でぶっちぎりのNo.1になったのがこの「カルメン」だったそうだ.

 この日の「カルメン」は良く知られた筋書きをちゃんと描いてくれる公演だった.各幕ごとの始まりが前奏曲ともう1曲終わってからの幕開きだったので,若干間延びした感もあったが,子供の兵隊,兵隊たちがタバコ工場の女工員さんたちとじゃれ合うところ,から始まって,知られたとおり展開されていた.また舞台が明るく見易く作られていて,楽しく明るく見ることができた.

 演奏では,カルメン役に代役が付いたような掲示があったようだが,ちゃんと確認はできなかった.しかしそうだとしたらすごい代役.ドン・ホセ役の L.M.Vodicka も最後までバッチリ歌っていた.エスカミリオ役の R.Janal は,最初はマイクが仕込んであって,天井近くにスピーカがついているのではないかと思ったほど,豊かで広がりのある声.ただあの歌い方は私は好きじゃないけど.それから ミカエラ役の M.Tkadlcikova はものすごく言い声の持ち主だが,端から端まで全部フルに Vibrato をかけちゃあはっきり言って食傷気味だよ,という感じ.確かに声やテクニックは素晴らしい歌手だ.

 オーケストラについては,本当に考えを変えた.前はこのオーケストラは全く信用していなかったのだが,今回で考えを変えた.前に聞いたのはシーズン終わりで,色々な意味で荒れていたのだろう.そう思うことにした.とにかくオケは良かった.ただしバレエの見せ場はもの足りない感じ.それから合唱はちょっと気に入らない.数でパワーで押すところは良いのだが,アンサンブルが必要なところ,しかも全員が前を向いているのに指揮と全く合わず合唱団だけで会わせていてオケとピッタリずれていた(変な表現!).指揮者は当然色々変わるんだろうが,オケは熱演を見せていただけに,合唱団のやり口にはがっかりした.

 総じて言うと,国内,プラハの市民にはこの Statni Opera は Narodni Divadlo と比べたら人気がないのだろう.まあチケットも高いこともあるかも知れないが,当日の午後で1stバルコニー(ボックス)の一番いい席が空いていたのだから.逆に言うと観光客には取りやすいようで,同じボックスにも日本人が2人いたし,劇場全体でもおそらく30人ほどは日本人が見に来たであろう.日本から観光で来る予定の方々へ.この「カルメン」は,ほとんどオペラを見たことがないが,本場で一つぐらい良いものを,と思う方,また伝統的なオペラをとても良く知っていてそれが好きだという方にはお薦めである.このプラハの街は Don Giovanni が有名だが,そちらは人形劇で見ることにして,この「カルメン」を見る,というのが私のお薦め.

 ところで,オペラについてさらに専門的にご存じの方,また色々と勉強してみたいという方には私のこちらの感想もお読み下されば幸いです.

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。