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ドヴォルザーク 歌劇「ルサルカ」(Narodni divadlo) [2000音楽三昧 in Praha]

ドヴォルザーク 歌劇「ルサルカ」(2000年10月21日(土) Narodni divadlo)


 ドヴォルザークのオペラというのは,少なくとも日本ではあまり知られていなくて,昨年(1999年)チェコ・フェアがあって日本にこのNarodni が来て初演だったという話です.このシリーズは98年プルミエで,逆に言うと日本公演を見越して作り直したということもあると思います.もちろんこのチェコでは作られて以来ずっと演じられ,人々の誇りになっていたもので,特に1960年プルミエのシリーズは30年にわたり700回近くも再演されていたというから,その理由を調べたくなります.

 筋書きこのNarodni Divadlo の日本公演のパンフレットの解説が他のHPに書いてあったのでそれに譲ることにしましょう.見終わった感じで勝手なことを言うと,正直なところこのオペラが日本ではほとんど知られておらず,どちらかといえば人気がないのはわかる気がします.一言でいうと「真っ白だがどことなく泥臭い白鳥の湖版人魚姫」.話も水の精と湖だからわかるのですが,楽しくオペラを見るには辛気くさい,まじめに見ようと思うと泥臭くて飽きる.そういう作品と私はおもいました.

 ところが,ところが.この日は昼の部(13:00~)にこの「ルサルカ」,夜に「椿姫」の変速ダブルヘッダー.夜の部のことについては(妻が見に行ったので状況は聞いたのですが)述べないことにして,昼の部なので子供連れも多い.もちろん子供たちはおめかしをして,颯爽とやってきます.一年に一度あるかどうかの晴れの場ですから,もちろん彼らは騒ぐようなことはなく,どこかの国から来て,フラッシュをバンバン使って写真をとりまくっちまうような不届きものとは違います.そして,当日の料金設定も,演目ごとに決まる,3段階あるうちの一番安い設定.つまりそうしてあまりお金持ちでない人にも,国の宝のオペラを見てもらおうということ.それに痛く感動しました.しかも・・・

 演奏は・・・・もう最高 失礼.でも確かに最高.やっぱり歌手の名前を書いちゃお.ルサルカ=D.Bureshova, 王子=V.Prolat, 水の精=L.Vele, 魔女=Y.Skvarova, 他国の王女=A-L.Bogza, 森の番人=J.Jezek, 皿洗いの少年=M.Bauerova, 3人の妖精たち=E.Drizgova, P.Aunicka, J.Maxova, 狩人=I.Kusnjer.全くケチを付けるところがない.良いメンバーをずらり揃えて,それらが競って歌う.声質のためもあるのだろうが,前に Statni で見て以来,忘れられないドラマティック・ソプラノ・A-L.Bogza でさえもがどちらかといえばメインではない他国の王女.さらにこのキャストの中で特に気に入ったのは,冒頭の3人の妖精の3重唱.良く内容を知らないであらすじだけで入って,いきなりの名演には本当に驚きました.しかも歌だけではなく,バレリーナに混じって踊るダンスも,一瞬どれが歌手か?と思うほどの熱演.もう端役からしてこうですから,あとは推して知るべし.そして J.Belohlavek の指揮も,歌劇場オケの演奏もあまりに素晴らしい.この日はチケットが取れなくて,上手側に配された金管のベル向かいのボックスバルコニーに座ったので,それも良く聞くことができましたし,指揮者もよく見えました,彼が音楽を作ったことから当然かも知れませんが,とにかくこのまえの O.Dohnanyi と同様,完璧な指揮を見ることができました.

 演奏が良かったからかも知れませんが,実はドヴォルザークも良い譜面を書いたなと思いました.ドヴォルザークは新世界の終楽章のようにダサいオーケストレーションが多いというのが私のイメージですが,この日のサウンドは非常に充実したもので,これは演奏だけではない,譜面もだ,というきがしました.(ビェロフラーベクの書き直しだったりして・・・)

 演出は,こうした泥臭いものにも関わらずとても美しい舞台で,父・水の精の幕を使った登場などはかっこいいという感じ.チェコにいなかったら見ないだろうけど,そして日本公演があっても高いチケットを買ってまでは見に行こうとは思わないだろうけど,正にチェコならでは,見て良かったと思える舞台でした.

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