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チャイコフスキー バレエ「白鳥の湖」 (Statni Opera) [2000音楽三昧 in Praha]

チャイコフスキー バレエ「白鳥の湖」 (2000年10月15日(日)プラハ国民劇場バレエ団 in 国立オペラ)

 この国立オペラ劇場は,国立博物館 Narodni Museum とプラハ中央駅 Hlavini Nadrazi の中間にある.どこかに書いたが,有名な国民劇場 Narodni divadlo が(一度,落成直前に放火?によって焼失したにもかかわらず再度建てられ)隆盛を極めているのに対抗して,当時のこの国の支配階級であったドイツ人たちが建てた劇場である.昔から数々の歴史に名を残す音楽家がここの音楽監督をしていたこともあり,有名な劇場である.最初はそうして対抗していたこの劇場と Narodni divadloであるが,今はそういうことはない.Narodni がチェコ物に力点を置き,また演劇なども上演しているのに対し,この国立オペラは原則としてオペラ専門,さらに世界中の作品を取り上げ,また新作なども積極的に上演しているところが違う.

 そのなかで,Narodni のバレエ団は,世界でも屈指の歌劇場バレエ団であると思う.特に昨年運良くプルミエを見ることができた,スメタナ「売られた花嫁」などは,もう世界の他のところでは絶対に演じることが出来ないのではないかと思うほど,バレエの実力を見せつけてくれる.そんなバレエ団であるが,国民劇場はもう一杯のようで,毎月3回,国立オペラのステージを使ってバレエだけの公演もしている.毎月演目が変わるようで,今月はこの「白鳥の湖」,来月は「眠れる森の美女」である.

 考えようによっては,こうした本番を重ねることによってその実力を維持しているのかもしれないのだが,実際見てみると何とも豪華である.役を取って演じている人たちももちろんなのだが,まず一番に驚いたのは,この作品で言うところのたくさんの白鳥たち.2幕で有名な「4羽の白鳥」の踊り,その次に出てくる「3羽の白鳥」の7人の他に,その他大勢の白鳥が6×3=18羽.それが役のある人たちの他にいて,その演技が誠に見事なのである.さらに驚くのはこれが96年プルミエで,そのあとレッスンはあるだろうが基本的にはそのまま5年目のシーズンを迎えたということである.もちろんその間に人の出入りもあるだろうし,そう思うとこの舞台に上がっている人の2倍はキャストがいるということだ.女性ダンサーだけではない.男性のダンサーもしかりである.

 こうした「団としての実力」をまざまざと見せつけながらのこの日の公演は,オデット・オディリエ役の人が,本当に同じ人であったかと思うほど,3幕のオディリエのところでは疲れて冴えない感じだったのだが,それを除くと正に素晴らしいものであった.1~3幕の道化,もちろん王子様,赤毛の魔法使い,どれも圧倒された.そのほかに素晴らしいと思ったのは,4羽の白鳥.これはスタンダードな役回りだが,これまで見たどれよりも動きが細かく,また完璧であった.その直後の3羽のうちの1人は,どうも別格に踊りが大きく,なぜなんだろうと思った.最後に特に花束贈呈があったから,まさかこれで引退?ちょっと出るべき場所が違ってたと思うほど,素晴らしかった.それから,出番としては大きくなかったのかも知れないが,3幕の舞踏会でパ・ドゥ・ドゥーで出てきた女性,黒髪の一見アジア系かも?と思うようなダンサーは,役は無いのかも知れないのだが,短い出番でありながら出てきた瞬間から歩き方からして素晴らしかった.専門用語を知らないが,左足つま先立ちで右足をふりながら20歩あまり,さすがにブラボーまでは出なかったが,完璧で美しかった.

 メインのダンサーが素晴らしいことはわかる.だが役名が付かないようなダンサーにこうした名演が見られるのが,さすがの底力だとおもった.これは歌劇場における合唱団などにも言えることである.

 最後になった.演奏は,「国民劇場バレエ・オーケストラ」と訳の分からないことを書いてあった.おそらく国民劇場のオケのメンバーが主になっているんだろうが,家主の国立オペラとの関係や,トラをどう扱うかなどで違った名前にしたんだろう.先日同じ出し物を妻が見に行ったときには,コンマスがへろへろだったそうだが,今日は美しかった.やったことがあるから楽しみに聞いたのだが,Trbは柔らかくて美しいが,やはり私の好きな音ではない.それからちょっとチューバ,そりゃあいくら何でも吹きすぎだぜ.

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