処分？

兵庫県立高校の入試で，採点ミスがあったという。

あってはならないミスだというのはもちろんなのだが，ちょっと気になる話があった。

採点ミスをした教員の処分を検討するのだという。

それで良いのか？　こういうことを言うと

　　　「教師だからそんな甘い考えなんだ，会社だったらすぐに減給かクビだぞ」

などという意見が出てきそうな気がする。ちょっと待て。

答案を保管していた間に不正行為が起きた過去の件の反省から，試験当日に採点をすべて終了するようなシステムだったことが，ミスを引き起こした原因だとも言われている。

採点をする教師は教育の専門家である。本来ミスをするはずのない人種であると見るべきなのではないか。
簡単なケアレスミスだ，信じられないなどと非難するのは簡単だが，本当の原因を良くチェックするべきだと思う。

大昔，あるところで入試業務の仕事を手伝ったことがあった。朝から監督の手伝いをし，その後採点の手伝いである。実際，疲れてきてミスを連発し，一緒に仕事をしていた人に心配されたことを思い出す。人間はミスを起こすのである。すべきことはミスが起こらないように態勢を作ることなのではないか。

危険なのはこういう声に押されて　「採点した答案を開示せよ」　「採点基準を公表せよ」　という要求がエスカレートすることである。または「大学入試センター試験に一本化せよ」などという類のことである。

そのことの問題点についてはまた別に述べるが，とにかく日本全国大抵のところでシステム作りが間違っている。ミスが起きることを前提とし，その影響が出ないように修正していくことが必要である。

問うべきは，こういうトラブルが起きるようなシステムを作った人間の責任ではないのか。

ちなみに，詳しくは述べられないが，岡山大学は採点については本当に慎重に万全を期して行っていることだけは確かである。