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総括編1:プラハ・国民劇場と国立オペラ [2000音楽三昧 in Praha]

 今さらここで解説するまでもないのだが,プラハは音楽が盛んであり,中でもオペラは,演劇に対する人々の深い思い入れ=チェコ民族の歴史に深く由来する=と相まって,豊かなものであると思う.その中で大きな2つの劇場,国民劇場 Narodni Divadlo と国立オペラ Statni Opera がある.元々は市民が自分たちの民族の象徴として寄付金を募って建てた劇場が Narodni Divadlo であり,(放火により消失させてその盛り上がりを阻止しようとしたが失敗した?)支配者階級であったドイツ語人が建てた劇場が Statni Opera である。そのため,前者はチェコ物,スメタナやドヴォルジャークの物を積極的に取り上げるが,後者はもっと幅広い演目を取り上げてきた、とされる。実際に Narodni Divadlo ではそうした物をよく取り上げており、私自身も「売られた花嫁」「Libuse」「Rusalka」を観たが,もっと幅広いレパートリーを持つようになった。

 そうしたレパートリーの違いもさることながら、もっと違いを感じたのはその演出を中心としたいわゆる「作り」である。レギュラーシーズン中の Stavovske Divadlo は基本的に Narodni の公演であり、「夏のシリーズ」と書いたものは、正確ではないが、だいたい Statni Opera の系列のようなものと思ってよい。その中でいうと次のように同じ作品を2つ以上の劇場で続けて観る、という幸運に恵まれた。



カルメン        Narodni divadlo,  Statni Opera,   両者の比較はこちら
魔笛           Stavovske divadlo, Liceu 劇場,
             Statni Opera1,  Statni Opera2,  
コシ・ファン・トゥッテ  Stavovske divadlo,  Statni Opera,  
ドン・ジョヴァンニ   Stavovske Divadlo, Stavovske Divadlo(夏)
トスカ          Narodni divadlo,  Statni Opera
リゴレット        Narodni divadlo,  Statni Opera
   


ここにあげた、同じ演目の感想を比較して読んでいただきたい。そこでわかることは、Statni Opera は原則としてOpera専門の劇場。それに対して Narodni は演劇などもその活動の中心に位置するということである。Narodni では演出家などの交流がある(分けていない?)ようだ。その結果、Statni(系)では旧来からの伝統的な形に則った演出で演じられるのに対して、演劇専門の演出家の、オペラ界からすればユニークな斬新な演出が目立つ。

 オペラをよく知った人からすると、Statni の演出の方がなじめるものであるようだ。しかし見物として考えたときには、どちらかというとゴテゴテとした Narodni 系の演出の方が総じて楽しめたと思った。「魔笛」など、いくつか私の好みにあわなかったものもないわけではないが。オペラ界の人に言わせれば「演劇の連中は『何か特別なことをやりたがっている』」ということになるらしく、演劇系からすると「何であんなつまんない演出をしてるんだろう、あいつらは」ということになるようだ。

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