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年寄りボケかもしれない [読書感想文?]

この本を読んで,またここでガ~ッと吼えようかと思っていたのだが,何だかむなしくなってしまった。



非常に冷静に書かれた本である。深沢真紀氏の元々の定義に近い「草食系」のような若者の現状について,データを交えながら淡々と述べられている。

車離れ 酒を飲まない デートにがんばらない 男女の差異が無くなってきた

というクールな若者の気質について丁寧に語っている。

タイトルを見ると,
 第8章「個の溶解と,浮上する共振型の喜び」
 第9章「近代からの離脱と伝統文化への回帰」
というのに惹かれる。

読んでみると,クールではあるが人との結びつきを重要視していて,例えばボランティア活動などに生き甲斐を持っている人が多いと。一方で「一卵性母娘」のような話にも言及しているが,あまり詳しくない。
また,日本古来の文化を好む話もあって,お金を使って買うということではないが,本質的に日本的なものを求めていこうとする傾向についても述べられていてなかなかおもしろい。

だが,200ページにもならんとするこの本をなんと40分ぐらいで読んでしまった。別に速読術をやっているわけではないが,いわゆる斜め読みで大半が読めてしまった。そういえばどうもこのところこうやって斜め読みで速攻で本を読んでしまうことが多い。本当はじっくり読めばいいのに,じっくり読もうとしてもどんどん次へ捲らざるを得ないのだ。そこで気付いた。よく考えてみると同じような傾向の本ばかり読んでいる。ネガティブな話に限らず,「近頃の若者は」という本ばかり読んでいる。そもそも買う段階でそういう本を選別してしまっているのだ。思考が硬直化している。年寄りボケしてしまったのかもしれない。恥ずかしいことだ。

さらにこの本を読んでいてショックを受けた。上に述べたように第8・9章はどうも書き足りない感じがするのだが奥付を見ていてその理由に気付いた。著者の山岡 拓氏は,私と同じ年に大学を卒業して日本経済新聞に入社,日経新聞産業地域研究所で研究員をしておられたそうだが,この本が出版される直前の2009年10月にに他界されている。邪推だが,本書の終盤は最後の力を振り絞って書かれたのではないだろうか。

そう思うと,無駄飯を食ってのほほんとしている自分がなおさら恥ずかしい。



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みんな一緒か [読書感想文?]

吉越浩一郎 「吉越式会議」(講談社)を読む。



細かく丁寧に読む時間は取れなかったが,斜め読みのような読み方でもすぐに理解できた。
それはなぜかというと,例の 「超整理法」 に代表される,野口悠紀雄氏の説くところと基本は同じだと知ったからだ。

野口氏の曰くは,個人に向けた内容が多い。
それを吉越氏の表現から拾うならば,もっとも重要なのは「デッドラインを決める」だろう。ただしそれを自分自身に向けるときには,個人の能力は有限なので,始める時刻を決めてその時刻までは忘れている,時間になったらコンピュータのアラートなどを元に始めるということだろうか。





それから,「アイディアはパクりでいい,実行力こそ大切」も,「超」勉強法に挙げられている「拙速を旨とすべし」という考えと近い。





あとはコミュニケーション術である。超「超」整理法にあるような,クラウドコンピュータを使い,検索ソフトを通じて自分自身と対話すること,最初の「超」整理法に挙げられたように,時間順に書類を整理しても,自分の記憶は以外に使い物になるという考えも,実は自分自身とのコミュニケーションである。




こうして違った角度からの説明を見ると,また面白い。吉越氏の本は30分で読んだ。
私は今年から「超」整理手帳を使っている。





なんだか,広告のページみたいだな。

ちょっと手に取った本 [読書感想文?]

何となく本屋で手に取ってしまった本。





しまった。著者の福田和也は論壇のスターの1人でもある。文藝春秋にて「昭和天皇」というすごい連載をしている。私もその読者の1人だ。塾の先輩でもあるこの人の本をうっかり買ってしまった。

内容に文句があるわけではない。「先達たちの器量に学ぶ人間論」と帯にあるのは全く誇張ではないし,こうやってまとめてあるので,手軽に読めて大いによろしい。

私自身にとってどう思ったかはさておき,福田氏にとっては,有り余る知識をちょっとつないで簡単に書いた本なのだろうと思う。暇つぶしと言っては失礼だが,氏の渾身の作品のカタログのような物か。

読むことは勧める。安いんだからタダで読もうとせずに買ってもらいたい。特に若い人はこれくらいのところから,明治期以降近代日本の先人たちのことを学んでもらいたいと思う。

途中でやめちゃった(2) [読書感想文?]

昨日に続いてまた読みかけて途中で止まっている本。





著者の岩崎純一氏は「共感覚の持ち主」なのだそうだ。この標題をみて,驚いた。
実は私も,それほど程度は高くないが,共感覚の持ち主なのだ。私の場合,まさに音に色がある。

A♭は単音で金色,もしくは紫色。A♭のコードは暗い感じの金色。
Gは単音だと青みがかかった灰色。
だがAだと緑であり茶色だ。
Eは緑が買った灰色。E♭は鮮やかなエメラルドグリーン。 などなど。  

さらにこの中には味を感じる音もある。

だからとても親近感を持って読み始めた。さらに,本書の議論は,それが人間に本来備わっていた感覚だとして,特に古い和語の世界を紐解き,その世界を解明しようとしている。昔どこかでよんだ,「アオ」という言葉で黄色をさすことがあるというような話について,本書の説明は斬新であり明快だ。

だが,なかなかこの本は読み進められない。というよりも飽きてきたのだ。なぜなら,あまりにも納得できるから。

半分ぐらい読んだ。おもしろい世界なので皆さんに読んでもらいたいのだが,飽きて途中で本棚にしまっている私の言うことは聞いてもらえないだろう。

最近,研究室の本棚はバトルが激しい。引っ越して,新しいが狭い部屋に入ったこともあって,本棚が少ない。そこで大学の図書館から長期貸し出しになっているものでも,多くのものが図書館に返されることになった。しかしその空いたスペースにまた次々と別の本が入ってくるのだ。そうやって淀んだものをかき混ぜていくことにした。

本書は私費で購入したので図書館に持って行っても引き取ってくれない。そうした本は売りに出してしまうことにしているが,この本は本棚に残しておくことになるものだろう。なぜなら自分のことを説明してくれている本だから。


途中でやめちゃった(1) [読書感想文?]

少し前から読んでいる本が2冊。

一つは日大文理学部教授・広田照幸氏の次の本。





各所に書いた文を集めて出したもののようだ。2年ほど前の刊である。

氏の文章はあちこちで見ていて,なかなか共感できることが多いので何となく手にしたのだが,最初1割ぐらい読んで飽きてしまった。毎日鞄に入れて持ち歩いているのだが,ちょっと読んでもすぐにやめてしまう。

この20年ほど,「アメリカ的な」,もうすこしちゃんとした言葉遣いをするならば「新自由主義的な」流れが米国から日本に押し寄せてきた。株主優先の企業経営。短期的な利益を重要視するその発想は,教育の世界にも非常に強く影響してきた。その端的な表れの一つが大学入試センター試験であると思うというのはいつもの私の言い分。

こういうものに強く違和感を抱いてきた私は,広田氏の文章を見てなるほどこれだと思った。すなわち寄って立つべきところをしっかりと説明してくれているのである。

昨今やっと,こうした方向の誤りに世界中が気づき始めた。リーマンショックに始まる世界的な不況という,多額の授業料を払って。

しかしなぜ飽きてきたのか? 考えが変わったのか?

いや,そうではない。この考え方は深まる一方なのだ。しかしそれに賛同してもらうのはもう十分。
もはや「君の意見は間違ってないと思う」なんて言われて喜んでいてはいけないのだ。
すべきことは、これを実践に移すこと。

この本は図書館の本なので,長期貸し出しをやめて図書館に返す。だれか他の人に見つけてもらうために。


そうだよ。テレビは見てはいけない [読書感想文?]

引き続き 苫米地英人「テレビは見てはいけない」脱・奴隷の行き方(PHP新書629)を読んで,
昨日書かなかったことの中で,どうしても書いておきたいこと。

報道が追求すべきは悪人ではなくシステムの悪

いわゆる「識者」といわれる人たちの中にはこのことをいう人も多いのだが,なかなか一般人にはそれが理解できない。最近,政権交代に伴い,この問題が言われ始めた。

無駄な公共工事(ダム,高速道路,空港など)をどうするか
役人の天下りをどうするか
ナショナルフラッグ航空会社の経営はどうするか

などなど。ほかにも社会保障に関する問題なども同じようにみることができる。すなわちどれも既得権者や困窮者などもたくさんあり,その存在を無視することができない。

これは国民全体で議論をすべき事である。そしてその先導はマスコミ等がしなくてはならないことである。ところが残念なことに,そのリードについてまともな対応がなされているとは思いにくい。

こうしたシステム変更に際して,一部の人には痛みを伴うことになるケースも多い。マスコミはこういうことを明らかにしてしていく責務があり,確かにそれは行っているとは思うのだが,残念ながら「お涙頂戴」に終始している。

たとえば所得税の配偶者控除を廃止してその分を子供手当にあてろという話になると「不妊治療には経済面でも大きな負担がある,そういう人をないがしろにするのか?」という新聞投書が出てくる。投稿した当人はその通り大変だと思うのだが,それと配偶者控除は何の関係もない。そうした人たちは不妊治療に対する補助をすればいいことである。しかしこれを一緒くたにしている。こういうきちんとした社会的な議論をリードすべきマスコミがこの体たらくである。

苫米地氏の書によれば「政治家や官僚の首を獲れば,報道局長賞や新聞協会賞などをもらうことができるからと記者がそれを狙う」のだそうだ。そんなことを目標にしても社会的には大した意味がない。本当に悪いのはその個人というよりもそれを許しているシステムであることが大半である。

ああそれなのに。


テレビは見てはいけない (PHP新書)

テレビは見てはいけない (PHP新書)

  • 作者: 苫米地 英人
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2009/09/16
  • メディア: 新書



1Q84 [読書感想文?]

ほとんど小説など読んだことのない私である。綿矢りさ,金原ひとみが芥川賞を受賞したときにミーハーな気分で文藝春秋を毎月読むようになったものの,その程度であって文芸に向かって偉そうに何かを言うことは出来ない。

その私がまたもやミーハー気分で購入したのがこれ。





1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: ハードカバー



村上春樹の名前を知らないわけでは無いのだが,まあ別に良いかと思っていた。しかし今春,イスラエルからその功績に対して「エルサレム賞」を授賞されたときの記念講演における名言

高くて固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ

を聴いて以来,俄然興味が湧いたのであった。

その村上春樹の新著・1Q84が,ネット上で大いに話題になったので,ここは1つミーハー気分を増強して購入してみた。

たくさん読んでいるわけでないのに言うのも何だが,まず最初に思ったのは,「一気に読めた」こと。
特に易しいというわけでもないのだが,なぜか読んでいて明るい雰囲気をずっと感じた。
そして緻密な表現。どっしりしているがさーっと読めて頭に入って来る。

最初は現実味がある話だったのに,だんだんSFぽくなってきて,最後はその世界に取り込まれている。
なるほど。これがノーベル賞候補かと言われる文章なのだろう。

後半が冗長にならないように,あちこちで省略がなされていたのにもしっかりはまって味わった。

こういう文章を読んでみたのは良い経験だった。都知事センセが毎回の芥川賞の選評で「文章が下手だ」と言い続けていたのがやっと少しだけわかったような気がする。

まあいずれにせよミーハーにわか村上春樹ファンに過ぎない。

テレビを見てはいけない [読書感想文?]

苫米地英人「テレビは見てはいけない」脱・奴隷の行き方(PHP新書629)を読む。

 この筆者はその昔,オウム真理教の問題が持ち上がった時によくマスコミでその姿や意見をみた。「洗脳」を受けていた信者を脱会させるために尽力しておられたように思う。しかしどうも見た目が「テレビで見る普通の人」でなかったためかなんだか胡散臭いような気がして彼を見ていたように思う。もっとも私からすればテレビ等で見る以外に交わる機会がなかったわけで,そう思うことに何の妥当性もなく,もちろん悪く言う必要性などもなく,またその機会もなく何年も経った。その間も多くの著作を世に送っているようで,ときどき出版広告で名前を見ていたのだが,特に興味もわかずに来た。
 ところが今回,出張の新幹線の車中で暇つぶしに読もうと思って入った岡山駅の本屋で見つけたこの本を,タイトルに魅かれて何となく購入した。

 このタイトルに関連して自分自身のことを先に告白すれば,昔はテレビが年がら年中つけっ放しの生活が長く続いていた。今でも相変わらずくだらない「お笑い」番組も大好きである。しかし子供の親になった時に,これは子供に良くないということで,できるだけ見る時間を減らした。食事時は見ない。子供が起きている間はどうしても子供が見たい番組を制限しながら見るようにしている。

テレビによる洗脳

読まなくてはならない「空気」などない。

マナー教育は「正義」の名を借りた「奴隷化」

犯罪者は子供のころから自己評価が低い


 書きっぷりからするとトンデモ本の臭いもするが,この本の発する内容は鋭い。前にも書いたが,子どもの教育に最も必要なことは,テレビを見せないことだと思っている。本書ではテレビの制作側の状況,流行を作り出している側の状況が明かされているが,そこを読むだけでも「洗脳されているんだな」という感じがする。それだけでなく受動的な行動様式が身についてしまう。その点で自分が思っていたことをきちんと説明してもらったような気がする。

 ついでに言うとテレビゲームも同じ。テレビゲームが面白いのはわかる。だがそれによって価値観が固定されてしまうことに人々は気づいていない。ゲームは攻略していくことのみが評価される。しかしその「攻略」は誰かが作った道を上手く探し出して進んでいく力のことだ。「ゲーム攻略本」というのが出ることを見てもわかるとおり,誰かが作った道に対して異を唱えては評価されず,その通り進んでいくことにのみ意義があるのだ。

 はっきり言う。作る側はまだいい。だがテレビを見る/ゲームをする側はどんどん退化していると言えるのだ。さらにこのゲームの中に,何か政治的な意図が隠されているとしたら・・・?

 インターネットも面白い。だがネット巡回をしているだけではダメだ。やはり自分で発信する側にならなくては。たとえこのサイトのようにほとんどがジャンクであっても。

テレビは見てはいけない (PHP新書)

テレビは見てはいけない (PHP新書)

  • 作者: 苫米地 英人
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2009/09/16
  • メディア: 新書



がっくり [読書感想文?]

がっかりではない。がっくりである。

来年の新入生に読ませる本をと思って,なんとなく手にしたのが

大学で何を学ぶか (ベスト新書)

大学で何を学ぶか (ベスト新書)

  • 作者: 加藤 諦三
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2009/05/09
  • メディア: 新書


である。恥ずかしながら著者は名前はよく聞いていたが詳しく知らなかった人である。

たまたま大型スーパーで子どもを遊ばせている間にそこの本屋で見つけた。時間があったので一気に読んだのだが,読んでいるうちに疑問符が付いてきた。内容は右も左もわからない大学生の道案内をしてやろうということである。いちいちごもっともで,良いことを書いている。その中身には文句はない。だが考えてしまった。この本,今の学生に読んでもらえるのだろうか。来年の新入生に読ませる本としてどうなのか。

1時間弱で全部読み終わって奥付をみて愕然とした。これは1979年5月刊のカッパブックスに1つ章を加えて新たに出版したものだということである。

これを見て「古くさい」という感想を持ってしまった自分にはがっかりである。同時に(逆にというべきか)この本が学生の間で売れてくれることを切に祈ってしまう。

オレ,酒飲む人 [読書感想文?]

日経オンラインにある,朝山実氏による次の本の書評を読んでハタと考えた。





書評自体は読んでいただくことにしよう。それを読んでいて似たようなことを思い出した。
賞賛されるべきは勝者ではないのか?

高校野球などでも負けたチームについての美談がよくテレビなどで語られる。気付いてみたら勝つよりも負ける方が偉いの?と思うほどだ,というのがどこかに書かれていた。

「だって頑張ったのに負けちゃって可哀想じゃない」

おいおい,勝ちがあれば負けもあるんだよ。それなのに「勝った方が悪い」とでも言わんばかりのお涙頂戴路線。それを振りかざすマスコミ。

朝山氏の話はこのことに似ている。そしてその問題が,前に書いた「我々と言わない」と同じような雰囲気がした。

早速本を注文した。

読まないうちに書いたのが「読書感想文」?などとつっこまないように。
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