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くだらない「電子辞書」論争 [英語を勉強する?]

7/19の朝日新聞に,「電子辞書と紙の辞書,どっちがいい?」という論争が上がっていた。

笑ってしまったのは,いわゆる専門家の意見がなかったことである。「素人さんの個人体験」ばかりが上がっている。こういうことでは多数決には意味がない。最近よく見る「TVショッピング」の「これは個人の体験であり,効能を意味するわけではありません」のレベルである。

ではなぜ専門家の意見がないのか。それは利害関係者だから。然るべき専門家はみんな辞書を書いている。悪く言えば利害関係者である。だからどちらかに軍配を上げることは出来ないのだ。

そこで,半分素人の私が結論を言おう。話はわかりやすいように英和辞典に限定するが,仏和,独和,露和,また和英,和仏など同じことだし,実は国語辞典でも漢和辞典でも古語辞典でも本質は同じなのだが,深く言及はしない。

そもそも「英単語の意味」とはどういうものなのか。残念ながら,英単語1つに対して日本語の単語が1つぴったり当てはまるケースは皆無である。外来語として互いに取り入れている語でも,その段階で意味が狭められたり変えられたりしていることが大半である。

従って当然のごとく,辞書を引いたときに最初に見つかる訳語がその語の意味を完全に表しているとは限らない。

そういう意味で,1967年に出版された 森一郎「試験に出る英単語」(青春出版社)は人々を驚かせた。その前書きにはっきり書いてあるとおり,「大学受験のためにもっとも効率の良い方法をとるため,過去の大学入試の問題を調べ上げ,試験に良く出る順に,試験で要求される訳語を1つだけ当てるように」作られた参考書である。

改訂版に寄せて著者は,これは試験に出る順なのであって,一般社会で使われる頻度と一致するとは限らないとはっきり述べている。手元にはもう同書はないが,確か issue という言葉についての訳語について議論があったように思う。この単語の意味をぜひ調べてもらいたい。

だがそれは「大学受験」のための便法なのであって,それだけが目的あるならば,「でる単・電子辞書版」(があればそれ)を使えばいいと思う。

そうやって森氏のデータを信じるのも入試対策には良いだろう。だが大学に入ってきた学生を見ると,英単語の見方が「試験に出る」に流されてしまっている。しかしそれは入試以外には役に立たないのである。英文の原書を読ませてみると,全く辞書の見方がわかっていない。だから残念ながらそれを最初から教え直さなくてはならない。さらに言えば,入試の出題側は,「英文を読んでちゃんと理解し,考える力があるか?」を見たくて出題しているのであるから,結果的に「でる順」が上手くいくケースもあるだろうが,それだけで上手くいくとも限らないのではないだろうか。

だから,この点を良く理解しているならば,どちらを使っても構わないということになる。しかしじっくり考えるという点での使いやすさや力の付きやすさを考えると,紙の辞書に軍配を上げなくてはならないだろう。

電子辞書派の人の中には,「百科事典も付いてる」「色々な言語の辞書がある」などと言う人もいるが,そんなものを色々携帯する必要がある人なんてごく少数だし,然るべき場所でじっくり調べれば済む話である。

ただし「おもちゃ」として「辞書で遊ぶ」人にとっては,電子辞書は大いにオススメである。我が長男は,(紙版であるが)広辞苑第6版を半分おもちゃとして持っている(○×リーグの影響?)。



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